警察に逮捕されて後ろ手で手錠をされる男性

風俗に行ってつい出来心で盗撮してしまった、というケースが後を絶ちません。

個室で女性と2人きりになることから、「ばれないだろう」と軽い気持ちで行ってしまう人も多いといいます。

基本的に風俗では盗聴や盗撮は規約によって禁止されています。また、盗撮される側の女性にとってもダメージは大きなものです。

そのため、盗撮がばれた時に女性が激怒して警察に駆け込まれたという事例も少なくありません。

もしも警察に逮捕されてしまえば社会的な損失は計り知れませんが、そもそも風俗での盗撮や盗聴は犯罪行為に当てはまるのでしょうか。

風俗での盗撮を取り締まる法律はない

その行為が犯罪に当てはまって逮捕されるには、法律や条例などでその行為が犯罪行為に当たることが定められていなければなりません。

人の所有物を盗んだ時に逮捕されるのは、それが刑法235条によって「窃盗罪」として定められているからです。

しかし盗撮に関しては、盗撮自体を犯罪と規定している法律はありません。そのため、現状では盗撮を取り締まる法律はなく、逮捕されることはないと言えます。

先ほど激怒した風俗嬢が警察に駆け込んだという事例がありましたが、ほとんどのケースでは警察に相談しても風俗で盗撮した利用客を逮捕するには至らず、「当事者同士で解決してください」と言われて帰されています。

風俗での盗撮に適用されうる法律や条例

このように、盗撮に関しては刑法に定めがないため犯罪としては成立しないようにも思えます。しかし盗撮罪のような直接的な罪名がなくても他の条例や法律によって逮捕される可能性はあるのです。詳しく見ていきましょう。

まずは各自治体が制定している迷惑防止条例です。

各自治体の迷惑防止条例

迷惑防止条例とは、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という別名を持った条例で、公共の場でいろいろな迷惑な行為を行うことを取り締まる条例です。
47都道府県や一部の市町村で制定されており、この迷惑防止条例の中に盗撮に関する規定があります。

まず、風俗での盗撮自体は条例に定めのある「人の通常衣服で隠されている」身体を、「写真機その他の機器を用いて撮影」すること(東京都の迷惑防止条例より引用)に該当します。

風俗の利用は当てはまらない?「公共性」がカギ

このように、盗撮行為は条例に該当します。しかし、風俗の利用はビジネスホテルや店舗の個室、自宅などを使って行われるため、条文で明記されている「公共の場所」には当たりません。
迷惑防止条例は基本的に公共の場での行為を規制するための条例なので、基本的には風俗での盗撮は条例違反にはならないのです。

実際の逮捕例

基本的には風俗での盗撮は条例に違反しません。しかし自治体によってはこの「公共の場所」という要件が条文に入っていないこともあります。

実際に奈良県では風俗で盗撮した容疑者が迷惑防止条例違反容疑で実際に書類送検されました。

外部リンク:盗撮した奈良県警の20代巡査長を書類送検 : 公務員の不祥事

奈良県の迷惑防止条例を見てみましょう。該当の条文は12条2項です。

引用:奈良県迷惑防止条例

12条2項
何人も、みだりに卑わいな行為であつて次の各号に掲げるものをしてはならない。

一 公共の場所及び公共の乗物以外の場所から、写真機等を使用して、透視する方法により、公共の場所にいる他人若しくは公共の乗物に乗つている他人の下着若しくは胸部等の身体を見、又はその映像を記録すること。
二 写真機等を使用して、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が着衣等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(公共の場所及び公共の乗物を除く。)に当該状態でいる他人の姿態の映像を記録すること。

12条2項目は1号と2号からなっていますが、1号には「公共」という文言が入っているのに対し、2号には公共という文言が入っていません。これは公共性が要件として求められていないということです。

すでに盗撮が風俗にばれており、逮捕されるかもしれないと不安になっているのであれば、まず利用した風俗がある地域の自治体の迷惑防止条例を確認してみてください。

軽犯罪法違反として逮捕される可能性も

軽犯罪法とは、刑法で規定するほどではない比較的軽微な犯罪について罰則を定めた法律です。例えば空き家に潜んだり、凶器になるものを携帯したりといった行為などが対象となります。

軽犯罪法23条には「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」という規定がありますが、盗撮行為はこの「窃視の罪」に当たる可能性があります。窃視罪の刑罰は「拘留」または「科料」として最大30日間、または1万円以下の罰金に処せられます。

軽いとはいえ拘留されてしまえば社会的な制裁は計り知れません。しかし、軽犯罪法に違反するという理由で警察に連れて行かれた相談者も多く見て来ましたが、実際に軽犯罪法違反で逮捕された例はありません。

建造物侵入罪(刑法130条)

建造物侵入罪は刑法130条に規定されており、「正当な理由がないのに、人の住居若くは人の看守する邸宅、建造物若くは船舶に侵入」することによって成立します。

とすれば、ファッションヘルスやソープランドなどの店舗型性風俗店のサービスルームや、デリバリーヘルスの場合のラブホテルに盗撮目的で立ち入った場合には、「正当な理由」がないことは明白なため、建造物侵入罪が成立し、警察に逮捕されるとも思われます。

実際に、内容は違えど、銀行のATMコーナーで他人のキャッシュカードの暗証番号を盗撮しようと店舗内に入ったケースで、正当な理由なく建物に侵入したとして建造物侵入罪で有罪となった最高裁判例もあります(最決平成19年7月2日刑集61巻5号379頁。)。

しかし、実際のところ、風俗店内やラブホテル等で、自分と風俗嬢の性行為を隠し撮りしたことで建造物侵入罪として警察に逮捕された事例も判例もありません。

他人の性行為の盗撮が目的であれば違法性も高いといえますが、そうでない場合には違法性も低く、警察実務上は建造物侵入として取り扱っておりません。

風俗での盗撮画像をネットなどに流出すると罪は重い

個人で楽しむ目的で風俗での盗撮行為をした場合には、犯罪として成立する可能性が低いと説明してきました。しかし、録画したデータをネットに流出したり、DVDなどの記録媒体に移して配布したりした場合には事情が異なります。

わいせつ物頒布等罪(刑法175条)

わいせつな画像や文書などをネット上に流出する行為は同罪が成立する可能性があります。実際に風俗での性行為を盗撮してインターネットに流し、閲覧者からお金を取っていた容疑者が逮捕されました。
有償か無償かにかかわらず同罪は成立しますので、もし無料であったとしても逮捕されていたことに変わりはありません。

名誉毀損罪(刑法230条)

風俗嬢を盗撮して不特定多数が閲覧できる場所に配布することによって、女性の名誉を侵害したとして名誉毀損罪が成立する可能性があります。

名誉毀損罪の保護法益は名誉となっていますが、名誉の意味合いとして「他人が社会的に抱く評価」を含みます。画像をネットに流出されることにより、風俗で働いている女性に対する外部からの評価が損なわれる可能性があります。

女性の多くは自分が風俗で働いていることを友人や家族に知られたくないと考えていたり、実際に内緒にしていたりすることも多いものです。しかしネットなどに画像が公開されることで、女性が風俗で働いていることが周囲の人に知られてしまい、名誉を害する結果に繋がってしまいます。

外部リンク:あなたを守る「リベンジポルノ法」元恋人から裸の画像を流出されたら

風俗で盗撮がばれて「警察に突き出すぞ」と言われたら

見て来た通り、単なる風俗での盗撮の場合は逮捕される心配はありません。そのため、風俗から「損害賠償を払わなければ警察に行きますがいいですか」というようなことを言われたとしても不安になる必要はないのです。

ただ悪質な風俗の場合はここで話が終わらないことがあります。悪質な風俗は、風俗での盗撮という規約違反行為をネタにして利用者男性からなんとしてもお金を搾り取ろうとします。警察に行くぞという脅しがきかなくても「家族にばらすぞ」「会社にばらすぞ」と他の手を使ってゆすってきます。

トラブルに巻き込まれている人の多くが、家庭を持っていたり安定した勤務先に勤めていたりと「この人からならばお金を搾り取れるだろう」と思われるところにいます。だからこそ「ばらすぞ」「裁判を起こすぞ」などと言われた時に恐怖心を抱いてしまいます。

悪質な風俗は、裏で暴力団などの反社会勢力と繋がっていることが多いため、法律の専門家に頼らずに一人で立ち向かって解決することは非常に難しいことを念頭に置いておいてください。

当弁護士事務所では、これまで盗撮トラブルを始め多種多様な風俗トラブルを解決して来た実績があります。人知れず眠れない日々を過ごしているあなたの悩みを誠意をもって受け止め、解決にあたります。

相談は無料ですし、もちろん守秘義務が課されていますので、家族や会社に相談したことがばれることはありません。それに当弁護士事務所からご連絡する時にも細心の注意を払います。どうぞ安心してお気軽にご相談ください。